イスラエル・イラン「停戦」 核施設攻撃、正当化できぬ
(VOVWORLD) -交戦状態にあったイスラエルとイランが、停戦に合意しました。全面戦争には至らなかったとはいえ、12日間で計600人以上の命が失われたといいます。両国は自制し、停戦を着実に履行する必要があります。
(写真:Majid Asgaripour/WANA (West Asia News Agency)/REUTERS) |
イスラエルと後ろ盾の米国が、国際法や秩序を大きく踏み外した点は看過できません。とりわけ不確実な情報を基にイランの核施設を攻撃したことは、どんな名目を掲げようとも正当化できません。
発端はイスラエルによるイランのウラン濃縮施設などへの先制攻撃でした。非公式に核兵器を保有するイスラエルが、宿敵の核開発を「脅威」として阻もうとしました。核で優位に立つため他国の核施設を攻撃する―。保有国のエゴであり、暴挙と呼ぶしかありません。
米国がそれに加担したのも信じ難いです。イランとは4月から核協議を続けていたのに、一転して強力な特殊爆弾で地下深い核施設の破壊を図りました。場当たり的な対応にはあきれるばかりです。
トランプ米大統領は核施設攻撃が「戦争を終結させた」と主張し、広島・長崎への原爆投下と「本質的に同じ」と開き直しました。被爆地の思いを踏みにじる許し難い発言です。
圧倒的な武力を振りかざしての停戦が根本的解決につながるとは到底思えません。両国はいったん矛を収めましたが、国民同士の遺恨や敵対心はむしろ強まったのではないか。
確かにイランが「平和目的」をうたい、核兵器開発を急いでいた疑惑は拭えません。しかし本来の解決法はイスラエルの核放棄を条件に、平和的外交と対話でイランに核開発を断念させることだろう。
核施設が破壊されれば、深刻な被曝(ひばく)に見舞われる可能性があります。実際、国際原子力機関(IAEA)は米国の攻撃で「放射性物質による汚染が生じた可能性がある」と指摘しています。(chugoku-np.co.jp)